【実践編(その1)】NFT・暗号資産の税金計算〜取引データ取得から記録の整理まで〜(確定申告メモ)

Cryptocurrency

いよいよ2022年分の確定申告が始まりますね。

前回の記事でNFTや暗号資産の税金について【理論編】としてまとめました。

【実践編】では、実際に確定申告用の取引データを取得・整理し、税金を計算するまでの過程をまとめます。

【実践編】は長くなるので(その1)(その2)の2部に分けました。それぞれの内容は👇🏻

この記事【実践編(その1)】でわかること

  • 各取引所やブロックチェーンから取引履歴を取得する方法
  • 取得したデータを取引履歴として整理する方法
(その2)は整理したデータを基に税金の計算を行い、残高チェックや翌年度への繰越までをまとめます。

【実践編(その1)】NFT・暗号資産の税金計算〜取引データ取得から記録の整理まで〜(確定申告メモ)

最初にざっくりと【理論編】のおさらいをしておきましょう。

【理論編】の復習

【理論編】を要約したツイートを共有します。

「暗号資産やNFTの税金計算、まだよく分かっていないよ〜」
という方は前回の記事【理論編】を読んでください。

取引データの取得

NFTや暗号資産の税金を計算するには取引の全データが必要です。

取引所のデータ

国内取引所

多くの人は国内取引所を使って暗号資産を売買していることでしょう。
この記事では『Coincheck』『bitFlyer』の取引データ取得方法を紹介します。

Coincheck
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①PCでhttps://coincheck.com/にログインし、左のサイドバーから人型のアイコンをクリック

取引履歴をクリック

③取得したい年のファイル作成をクリック

④作成後、ダウンロードをクリック

簡単ですね😊

bitFlyer
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①PCでhttps://bitflyer.com/ja-jp/loginにログインし、左のサイドバーからお取引レポートをクリック

お取引レポートのダウンロードをクリック

③画面を下にスクロールし、取引履歴(csv)申請をクリック


④レポートの準備ができたらメールが来るのでレポート画面からダウンロード

海外取引所

海外取引所はBinanceとBybitの取引データ取得方法を紹介します。

Binance
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※現在Binanceは新規日本人ユーザーの登録ができません。
(既存ユーザーは利用可能、日本語は非対応)

①PCでhttps://www.binance.com/enにログインし、人型のアイコンをクリック

②展開されるメニューのWallet(ウォレット)をクリック

Transaction History(取引履歴)をクリック

Generate all statements(すべての明細を作成する)をクリック

Customized(カスタム)期間を指定

⑥最大1年間指定が可能なので「2022-01-01」から「2023-01-01」と指定し、Generate(作成)をクリック

⑦内容を確認し、Generate(作成)をクリック
(1か月あたり6回まで作成可能です)

作成中になり、最大3時間待ちます。

⑧SNS等で作成完了の知らせが届いたら、再度④の画面に行き、Download(ダウンロード)

Bybit
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Bybitはすべてのデータを一気にダウンロードできないので、取引履歴と入出金履歴に分けてデータを取得します。

ヘルプセンター>ガイド>アカウントの問題>取引に関するデータの収集も参考にご覧ください。

【取引履歴データの取得】
①PCでhttps://www.bybit.com/ja-JP/にログインし、画面上のメニューから現物現物取引を選択

②履歴が表示されているの画面下のすべての注文をクリック

③右上のダウンロードをクリック

④期間を指定して今すぐダウンロード

ダウンロードできるのは最大6か月分のデータです。年間分は複数回に分けてダウンロードしましょう。

⑤少し待つと下にダウンロードと表示されるのでクリック

【口座の入出金履歴データの取得】
①サポートメールsupport-jp@bybit.com宛てに以下の内容を送信することでリクエストできます。通常10営業日以内に準備してくれるそうです。

  • メール件名:現物/デリバティブアカウントの資産履歴データリクエスト
  • 1)DDMMYYYY形式(日付・月・年の順)で必要なデータの日付範囲(開始日と終了日):01012022〜31122022
  • 2)コインタイプ:すべてのコイン
  • 3)ファイル形式:ExcelCSVスプレッドシート

オンチェーンのデータ

NFT売買やDeFiなどの取引がある人はブロックチェーン上のデータも必要です。主要なチェーンEthereum(イーサリアム)・Polygon(ポリゴン)・BNB Chain(BSC)について紹介します。

主要ブロックチェーンデータ

オンチェーンデータのない人は読み飛ばしてください。

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Ethereum(イーサリアム)

①Ethereumのトランザクション(取引)データを見るにはEtherscanにアクセスします。

MetaMaskからEtherscanを開く方法もあります。
MetaMaskの右上のからアカウントをEtherscanで表示をクリック

②画面上の検索窓に自分のウォレットアドレスを入力してEnterを押すと、アドレスに関する取引(トランザクション)データが確認できます。

ここでダウンロードするデータは主に3種類

  1. Transactions(トランザクション):主に支払いに関する取引データ
  2. Internal Txns(内部トランザクション):主に入金に関する取引データ
  3. Erc20 Token Txns:ERC20トークンに関する取引データ
その他、NFTに関するErc721 Token TxnsErc1155 Token Txnsなどがあれば合わせてダウンロードしておくといいでしょう。

③ダウンロードは画面右下の[ Download CSV Export ]をクリック

➤ 画面のように1年分を取得します。

Polygon(ポリゴン)

polygonscanにアクセスし、画面上の検索窓に自分のウォレットアドレスを入力してEnter

あとはEthereum(イーサリアム)と同様に

  1. Transaction
  2. Internal Txns
  3. Erc20 Token Txns

それぞれで[ Download CSV Export ]をクリックしてダウンロードします。

BNB Chain(BNBチェーン:BSC)

BNB ChainはBscScanですね。これもEtherscanとやり方は同じです。

NFT取引データ(nftgm)

NFTの売買に関しては、データを整理するのにとても便利な『nftgm』というツールがあります。
これはNFT売買等のデータ分析ツールで、ウォレットアドレスを指定するとNFT画像や名前も合わせて売買履歴が表示されるサービスです。無料で使えます❗️

NFT取引のない人は読み飛ばしてください。

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nftgmは

  • Ethereum(イーサリアム)
  • Polygon(ポリゴン)

に対応しています。

Ethereum(イーサリアム)

nftgm.comにアクセスし、
(ETH)Payment HistoryのGoをクリック

②Wallet address or ENS(.eth)に自分のアドレスを入力してETHEREUMボタンを押します。

③データ解析に少し時間がかかります。FINISHEDと表示されれば完了。

  • 日時
  • プラットフォーム(Openseaなど)
  • Event Type(売買・ミント等)
  • Contract Address(NFTを識別するコントラクトアドレス)
  • Token ID
  • Image(NFT画像)
  • Title(NFTの名前)
  • Pay From(購入者のアドレス)
  • Pay To(売却者のアドレス)
  • Transaction Hash(取引データの識別記号)
  • Value(ETH)(売買等価格ETH)
  • TX fee(ETH)(ガス代ETH)
  • 1ETH Price(USD)(1ETHの米ドルレート)

などが表示されます。
EXPORTをクリックするとcsvデータをダウンロードできます。

Polygon(ポリゴン)

Polygonは(Polygon)Payment HistoryのGoをクリック。あとはEthereumと同じです。

取引データの整理

つぎは取得したデータを整理します。

「何を整理するのか?」
基本的に税金計算に必要となる以下のデータすべてです。

  • 日時
  • 取引内容
  • 受け取った(支払った)暗号資産の数量及び日本円レート
  • 暗号資産を受け取った(支払った)相手方等(取引所名・マーケットプレイス名)
  • NFTを購入した(MINTした)ときに支払った暗号資産の数量及び日本円レート
  • NFTを売却したときに得た暗号資産の数量及び日本円レート
  • 支払ったガス代等の手数料
課税に関係ないデータは必要ないと思うかもしれませんが、取引所からウォレットへの資金移動や暗号資産の購入もすべてを整理しないと、暗号資産の取得価格や年末残高が計算できません。

取引所のデータ

まずは取引所のデータから整理してみましょう。

基本的にエクセルやGoogleスプレッドシートで記録すればOK。

わたしは、取引データを入力するとほぼ自動で税金計算をしてくれる自作のGoogleスプレッドシート「NFT・暗号資産計算書_2022」※を使っているので、今回はこれを使って記録、整理する例を紹介していきます。

※このスプレッドシートは、藤本さん泉さんnoteいすむさんブログを参考に作成しました。有益な情報をありがとうございます。
Coincheck
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取得したデータをエクセル等で開き、画面のように整理・入力します。

【注意】
このスプレッドシートでは対応する暗号資産の日本円換算レート(終値)をCoinMarketCapから自動取得するように作成しています。
国内取引所のレートとは異なる場合が多いので、違う場合は直接書き換えてください。対応していない暗号資産はCoinMarketCapなどで調べて直接入力しましょう。

bitFlyer
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bitFlyerも同じように整理・入力。

【注意】
このスプレッドシートでは対応する暗号資産の日本円換算レート(終値)をCoinMarketCapから自動取得するように作成しています。
国内取引所のレートとは異なる場合が多いので、違う場合は直接書き換えてください。対応していない暗号資産はCoinMarketCapなどで調べて直接入力しましょう。

Binance
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Binanceも基本同じように整理しますが、手数料還元や少額トークンのBNB交換など少し複雑です。画面のように整理すればいいでしょう。

【注意】
日時が世界標準時(UTC)なので+9時間するのを忘れないように。
以下のエクセル(スプレッドシート)関数で計算すると簡単です。
=日時の入力されている列+TIME(9,0,0)

Bybit
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Bybitはcsvファイルが複数に分かれているので、画面のようにそれぞれから整理して入力します。

これも世界標準時(UTC)の+9時間調整を忘れずに。

オンチェーンのデータ

オンチェーンデータのない人は読み飛ばしてください。

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取得したデータはエクセル等の表計算ソフトで読み込みます。
基本的に英語表記なのと、ブロックチェーンの用語で書かれているのでパッと見意味不明です。

なので、自動的にある程度整理ができるシートを「NFT・暗号資産計算書_2022」に作成しました。
このシートを使うと、詳しい知識がなくてもダウンロードしたデータを貼り付けるだけで、取引記録シートに貼り付け可能な形で整理できます。

ブロックチェーンごとに作業するのですが、作業はほぼ同じなので、ここではEthereum(イーサリアム)を例にまとめます。

Ethereum(イーサリアム)

ダウンロードしたデータは、

  • nftgm
  • Transaction
  • Internal Txns
  • Erc20 Token Txns

でしたね。

nftgm

NFTの売買等がない方はnftgmのデータは不要です。Transactionまでスキップしてください。

Nftgmからダウンロードしたデータは「payment_history.csv」という名前で保存されているはずです。

エクセル等で開き(メモ帳はダメです。カンマ区切りでデータが取り出せるアプリで開いてください。)、「NFT・暗号資産計算書_2022」の「eth_nftgm」シートに貼り付けます。

貼り付けると、数式でブルーで着色した部分に必要な情報を整理します。

NFTのイメージも確認できるので、
「ああ、この日にこのNFT買ったな。」
などと思い出すでしょう。

Transaction

次はメインとなるTransactionデータ。これは主にガス代が発生する取引データの一覧で、暗号資産売買、NFT売買などで経費としてガス代を控除できる額を計算するために必要なデータです。

①ダウンロードした「export-0x■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■(0x■…は自分のウォレットアドレス。以下同).csv」をエクセル等で開いて、「NFT・暗号資産計算書_2022」の「eth_txns」シートに貼り付けます。

貼り付けると、数式でブルーで着色した部分に必要な情報を整理します。
(日時の日本時間変換も自動計算します🧮UTCに+9)

②右にスクロールし、黄色に着色した列(取引内容、NFT取引かどうか、課税イベントかどうか)の内容を入力してください。

取引内容は、右の「取引内容(案)」を確認して、自分で記録した内容と合っていればコピーして、値で貼り付けましょう。

この(案)が正しいとは限らないので、基本的には自分で記録した取引内容を優先してください。

また、NFT取引では「NFT」の列に必ず「◯」を入力しましょう。「:(半角コロン)」以降にNFT名称を入力すれば、「NFT取引一覧」シートで損益を自動計算できるので入れておきましょう。

Internal Txns

「Internal Txns」はNFT売却やETHの受け取りなど、ウォレットにETHが入ってきた記録です。

①ダウンロードした「export-0x■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■.csv」をエクセル等で開いて、「NFT・暗号資産計算書_2022」の「eth_internal」シートに貼り付けます。

②右にスクロールし、黄色に着色した列(取引内容、NFT取引かどうか、課税イベントかどうか)の内容を入力していきましょう。

ここではNFTの売却を「課税イベント」としません。これは、NFTの損益(売却価格−取得価格)を「NFT取引一覧」シートで計算するからです。
Erc20 Token Txns

「Erc20 Token Txns」はERC20規格のトークンの出入りを記録したものです。

①「NFT・暗号資産計算書_2022」の「eth_erc20」シート画面上に自分のウォレットアドレスを入力します。
これは、その取引が「自分のウォレットへの入金なのか」、「自分のウォレットからの出金なのか」を区別するためです。

②Etherscanからダウンロードしたcsvデータを貼り付けると、着色した列に必要な情報が整理されます。

③右にスクロールして、黄色に着色した列(取引内容、NFT取引かどうか、課税イベントかどうか)の内容を入力してください。

【注意】
例のように、よく分からんトークンが勝手にエアドロップされることがありますが、無視しましょう。
整理したデータの入力

最後に、これまで整理したオンチェーンのデータを「NFT・暗号資産計算書_2022」の「取引記録シート」に反映していきます。

反映方法は、各シートで整理したデータの着色した部分のデータをコピーして貼り付けるだけ。

①Transactionデータを整理した「eth_txns」シートのQ列「日時(JST)」からY列「課税」までを選択してコピーします。

「取引記録シート」で貼り付けたい行の左端の列で右クリックして、メニューから「値のみ貼り付け」をクリック。


Internal TxnsErc20 Token Txnsも同様に

着色した部分をコピー ➤ 「取引記録シート」で「値のみ貼り付け」

します。

取引データの記録・整理後


こんな感じ👆🏻になります。これで取引データの記録・整理は完了。

まとめ

ここまで整理できたら、確定申告のための作業ももう少しです。😁

毎年、年末年始にこの作業をするのは本当に大変なので、普段から、せめて1か月に1回は取引記録を整理する習慣をつけましょう。

最後のステップ、税金計算と年末残高のチェック、翌年への繰越については次回【実践編】(その2)でまとめます。

以上です。
参考になればうれしいです。

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