DeFiとはなにか|リスクと注意点を初心者にわかりやすく解説

DeFi

2021年10月、ビットコインの価格が約半年ぶりに700万円を超え、NFTや仮想通貨のニュースも増えてきました。

実際NFTアートなどの販売で収益を上げる人も増えてきて、
これからDeFiで仮想通貨を運用したいという人も出てくると思うので、
DeFiとはなにか、またそのリスクと注意点を共有したいと思います。

この記事でわかること

  • DeFiとはなにか(仕組みと特徴)
  • DeFiでどれぐらい稼げるのか
  • DeFiのリスクと注意点

DeFi運用をはじめたい方はこちらの記事を参照

【初心者向き】DeFi運用のはじめ方|リスク調整のポイントなど
初心者に向けて、DeFiのはじめ方を実際の画面とともに解説。加えて「流動性マイニング(ファーミング)」におけるリスク・リターン調整のポイントや、わたしが実際やっている運用方法も紹介します。

【初心者向き】DeFiとはなにか|リスクと注意点

DeFiの概要


DeFiとはなにか。

DeFiとは“Decentralized Finance”の略語で、
直訳すると分散型(Decentralized)金融(Finance)のこと。

「分散型」とはどういうことか?
「分散型」というのは「中央集権型ではない」ということなのですが、まずは「中央集権型」とはどういうことかを理解します。

通常使っている銀行や証券会社は、金融庁が認可した〇〇銀行や△△証券という管理者が中央にいて、その管理者にお金を預けて送金したり、借金したりという手続きができます。
みんながこの中央集権的な管理者を信頼しているから、この仕組みが成り立っているということ。

一方DeFiは、中央集権的な管理者がおらず、ブロックチェーン上のスマートコントラクト(プログラム)によって、仮想通貨の送受金や取引、貸し借りなどの金融に関する手続きを実現しています。

ブロックチェーン技術を利用しているので、ネットワークに参加しているすべてのPC(ノード、マイナーとも)が取引などのデータを保存、取引をチェックする仕組みでデータの改ざんはほぼ不可能。

ブロックチェーン技術による高い信頼性と、人件費や建物維持費が不要な仕組みによる低コストで、インターネット上の金融機能を実現しているのです。

PCネットワークのイメージではこんな感じ。

DeFiの仕組み

板取引とAMM


仮想通貨の交換を例にすると、通常の取引所では売りたい人と買いたい人がそれぞれ金額を提示して取引所がマッチングを行います。「板取引」という仕組みですね。

この仕組みでは売買したい人が少ない場合取引が成立しません。取引が成立しないほど注文が少ない状態のことを「流動性が低い」と言うので覚えておきましょう。

ではDeFiではどうやって仮想通貨の交換を実現しているのでしょう?

仮想通貨の交換サービスを提供する分散型取引所(DEX)では、交換に使う通貨ペアをプールのように一定量ためておきます。
具体的にいうと、「ビットコイン」と「イーサ」を取り扱う取引所ならそれぞれの通貨交換に対応できるように、「ビットコイン」と「イーサ」をペアにしてプールを用意するといった感じ。

そして交換したい人はプログラムから提示されたレートで注文し、手数料を支払ってプールにある通貨と自分の通貨を交換します。

このような仕組みは、自動的に取引を成立させる(自動マーケットメイク)という意味から、「AMM(Automated Market Maker)」と言われ、この仕組みを使う分散型取引所(DEX)のことをAMMと呼んだりします。

流動性の提供がもたらす利益

AMMではこのプールが大きくないと取引が成立しないので、
資金に余裕のあるユーザーに取引手数料の一部を支払ってプールにためる通貨ペアを提供してもらう仕組みを導入しました。

この通貨ペアの提供を「流動性の提供」と言い、流動性を提供して手数料を稼ぐことを「流動性マイニング」とか「ファーミング」と呼びます。

DeFiでは、「流動性マイニング」、「ファーミング」によって仮想通貨を増やすことができるのです。

どれぐらい稼げるかというと、
有名なAMM「PancakeSwap」では、比較的低リスクのステーブルコイン同士の通貨ペアで年利8.26%〜9.64%の運用益です。(2021/10/17時点)

引用元:https://pancakeswap.finance/farms
2,000万円の資産を年利10%で運用すれば、年間200万円の利益が出ます。一人暮らしなら十分暮らせますね。

ちなみに海外取引所BINANCEのガバナンスコイン「BNB」とステーブルコイン「BUSD」のペアなら年利34.4%、

「ビットコイン」とステーブルコイン「BUSD」のペアでは年利18.45%です。(2021/10/17時点)

価格変動リスクが高いものは比較的リターンも高い傾向があります。

【価格変動が大きいとリスクが大きいワケ】
流動性プールは通貨のペアで作ります。

流動性プールは通貨の取引に使われるため、それぞれの価値が均等でないと(バランスが取れていないと)取引できる量が少ない方に引っ張られて、流動性が確保できなくなります。

なので片方の通貨の価格が変動して下がった場合、バランスを保つためにもう片方の通貨を売却して、価値が下がった通貨を買い増しする仕組みになっているのです。

この調整のときプログラムでとても複雑な計算をするのですが、ペアとなる通貨をそのまま持っていた場合より資産価値が下がってしまうことがあります。

この損失を「IL(impermanent loss:変動損失)」と呼び、
最悪片方の通貨の価格が急激にゼロになると流動性プールの価値もなくなり、提供している分の価値もゼロになることがあります。

これは非常にわかりにくいので、
また別の記事で掘り下げたいと思いますが、今はこういうリスクがあるということだけ理解しておくといいでしょう。

ちなみにどれくらいの損失が出るかは、
Binanceが簡単な早見表を作っているので共有します。

  • 1.25倍の価格変動 = 0.6%の損失
  • 1.50倍の価格変動 = 2.0%の損失
  • 1.75倍の価格変動 = 3.8%の損失
  • 2倍の価格変動 = 5.7%の損失
  • 3倍の価格変動 = 13.4%の損失
  • 4倍の価格変動 = 20.0%の損失
  • 5倍の価格変動 = 25.5%の損失

引用元:変動損失の説明 | Binance Academy

正直、価格変動がどれくらいになるか誰にもわからないので、いわゆる草コインのようなハイリスクのコインでなければあまり気にする必要はないと思います。

対処法は、価値がゼロになるような通貨を含まないペアを選ぶことです。

流動性提供先の選び方はこちらの記事を参照

【初心者向き】DeFi運用のはじめ方|リスク調整のポイントなど
初心者に向けて、DeFiのはじめ方を実際の画面とともに解説。加えて「流動性マイニング(ファーミング)」におけるリスク・リターン調整のポイントや、わたしが実際やっている運用方法も紹介します。
【ステーブルコインとは】
ステーブルコインとは、取引価格が安定するように設計された仮想通貨の一種。
法定通貨担保型と仮想通貨担保型、無担保型がある。
法定通貨担保型は米ドルなどの法定通貨との交換比率(相場)を固定したもので、コイン発行元が同額の法定通貨を保有している前提で発行しています。
ほかの仮想通貨と比べて変動リスクが少ないというメリットがあります。
代表的なものはUSDCやUSDT、BUSDなど。

DeFiの特徴

ここでDeFiの特徴を整理してみましょう。
比較対象は中央集権的な金融の仕組みです。

中央集権的な金融 DeFi(分散型金融)
管理者 国や銀行、証券会社、取引所 いない
管理者への信頼 必要 不要
利用 国によって制限 インターネットさえあれば利用可能
透明性 管理者に依存 高い
データの管理 管理者に依存 ユーザー自身
プライバシー保護 管理者に依存 ユーザーでコントロール可能
データの改ざん 管理者に依存 ほぼ不可能
システムトラブル耐性 低い 高い
システム構築費用 高コスト 低コスト
手数料 国際送金などは非常に高額 一般的に安価

まだまだありますが、基本的にこんなところでしょうか。

過去キプロスで金融危機があった際に国が大口預金者に財政負担を強制しました。

情勢が不安定な国や統制が厳しい国では、ある日突然銀行預金が凍結されるといったリスクは一定あるのではないでしょうか。

またベネズエラのようにハイパーインフレになれば現金の価値は激減します。

2021年10月現在円安傾向ですし、これらを踏まえると仮想通貨への分散投資は有効なリスクヘッジになると思いませんか?

DeFiのリスク

インターネットさえあればどこでもだれでも利用できて大きく稼げるDeFiは、一見すべての人にオススメできそうです。

が、当然リスクもあります。

価格変動リスク以外ではざっくりとこんな感じ

  • ハッキングリスク
  • 持ち逃げリスク
  • 操作リスク
  • 規制リスク

ハッキングリスク


まず一番注意が必要なのはハッキングリスクです。

DeFiはインターネット上のブロックチェーンで提供されるサービスなので、仮想通貨などの資産は常にハッカーたちに狙われています。

個人のウォレットに入っている秘密鍵は個人でしっかり管理していれば大丈夫なのですが、
送金や通貨交換などの取引時にウォレットの権限を一部他者(AMM)にわたす(Approveする)必要があります。

Approveとその取り消し(Revoke)については以下の記事で詳しく書いています。

Revoke(承認取り消し)のやり方|DeFiでのリスク回避に必要なこと
DeFiでトークンをスワップしたりする際にDEXなどのコントラクトに与えるApprove(トークンを扱う権限の承認)。悪意のあるコントラクトにApproveしてしまうと資金を盗まれることも。この記事ではApproveを取り消すRevokeのやり方を解説します。
まちがって権限を与えてしまって資産が抜き取られたりするリスクがあるのです。

また運用するために預けたAMMなどがプログラムのバグでハッキングされて資産が盗まれるリスクもあります。

持ち逃げリスク

次に持ち逃げリスク。
これは英語で「rug pull(ラグプル)」と言ったりします。

DeFiプロジェクトは誰でも開発できるので、一見大丈夫そうに見えても誰が作ったかわからないプロジェクトも多く、信用して預けていた資金がプロジェクト開発者に持ち逃げされるという事件が実際起こっています。

ハッキングや持ち逃げリスクについては、どう考えるかは自己責任で判断するしかありませんが、わたしはDeBank- DeFi Rankingというサイトでロックされた資産規模を見て、該当するブロックチェーンでどの順位にいるかなどで判断しています。

マナブさんの動画を参考にしました。この動画の16:35辺りで解説しています。

この動画めちゃくちゃ有益です。

操作リスク

3つ目は操作リスク。

基本的に仮想通貨の操作はある程度知識が必要、かつ難しいです。

よくあるミスとして

  • 秘密鍵をなくす
  • 送金先アドレスを間違える
  • 送金先のネットワークを間違える
  • 誤った操作でガス代を多く払ってしまう

などなど

注意をすれば防げるリスクですが、なれない操作をする時や、あわてて操作したりすると間違えたりするので注意しましょう。

規制リスク

これは国などの規制によるサービス停止などのリスクです。

日本やアメリカでは、急にすべてのサービスを禁止するようなことはないと思いますが、リスクがゼロではありません。

仮想通貨やNFTに関する法整備が遅れている状況もあり、不透明感は否めません。

国の動きなどのニュースにはアンテナを張っておきましょう。

まとめ

DeFiの基本とリスクについてまとめてみました。

確かにさまざまなリスクがありますが、その分得られるリターンも多いのがDeFiです。

興味がある人はまず少額で失ってもいい金額で色々と調べながらやってみるといいでしょう。(もちろん投資は自己責任です。)

DeFiのリスクについてはイケハヤさんのブログでわかりやすくまとめられていたので紹介しておきます。

以上です。
参考になればうれしいです。

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