2021/6/9、SONYからワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット(以下「イヤフォン」とします。)「WF-1000XM4」が発表されました。
同日先行予約販売(発売予定は6/25)が開始されましたが、
受注が殺到し、2021/06/20現在、入手困難となっています。
ワイヤレスノイズキャンセリングイヤフォンといえば、Appleの「AirPods Pro」も有名です。
わたしは最近、SONYの「WF-1000XM3」からAppleの「AirPods Pro」に乗り換えたので、
その比較レビューをしつつ、SONY「WF-1000XM4」に対して期待することを語りたいと思います。
Apple AirPods Pro – プレスリリース – 2019/10/28
Apple AirPods Pro – 製品ページ
SONY WF-1000XM3 – プレスリリース – 2019/7/5
SONY WF-1000XM3 – 製品ページ
AirPods ProとWF-1000XM3 詳細比較レビュー
比較したポイントは以下のとおり。
- アクティブノイズキャンセリング
- 音質
- デザイン
- 装着感
- 操作性
- 機能や設定
- 電池持ち
結論
最初に結論から言います。
AirPods Pro | WF-1000XM3 | |
アクティブノイズキャンセリング | ★★★★★ | ★★★★☆ |
ノイズキャンセリング設定 | オン/オフ/外音取り込み | オン/オフ/外音取り込み(レベル1〜20) +ボイスフォーカス |
音質 | ★★★★☆ | ★★★★★ |
イコライザ機能 | – | 8種類のプリセット +5音域20段階のカスタマイズ可能 |
サラウンド機能※ | 空間オーディオ | 360 Reality Audio |
デザイン | ★★★★★ | ★★★★☆ |
装着感 | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
操作性 | ★★★★☆ | ★★★★★ |
本体音量コントロール | – | 可能 |
音声アシスタント | Siriのみ | Siri/Googleアシスタント/Amazon Alexa |
バッテリー駆動時間(本体) | 4.5時間 | 6時間 |
バッテリーケース併用 | 24時間以上 | 24時間 |
充電方法 | ワイヤレス(Qi規格)対応/ライトニング | USB-C |
防水性能 | 耐汗耐水性能(IPX4) | – |
価格(税込) | 30,580円 | 27,500円 |
Amazon価格(税込)2022/04/25時点 | 29,036円 ➤ 商品ページ | 17,164円 ➤ 商品ページ |
※対応する音源のみ
わたしはデザインとノイズキャンセリングの効きを重視してAirPods Proを選択しました。
「いやいや音質が大事」「コストパフォーマンスも重要」という場合にはWF-1000XM3が選択肢になるでしょう。
では、詳細レビューを書いていきます。
アクティブノイズキャンセリング
まず、特に気になるノイズキャンセリング性能について。
公式Webサイトでは、それぞれ
【Apple AirPods Pro】
- 2つのマイクと高度なソフトウェアにより、左右それぞれの耳とヘッドフォンの装着感に合わせて連続的にサンプリング
- 外向きマイクで外音を検出し、周囲ノイズを分析
- 周囲ノイズが耳に届く前に、それを相殺する同音量のアンチノイズを作成
- もうひとつの内向きマイクで耳内の音を検出し、その残ノイズを相殺する同音量のアンチノイズを作成
- これを一秒間200回連続的に調整
【SONY WF-1000XM3】
- 独自開発の「高音質ノイズキャンセリングプロセッサー QN1e」を初搭載
- 騒音を打ち消す効果のある逆位相の音を高精度に生成し、緻密かつ効果的にノイズを低減
- ヘッドホンの外側と内側に配置した二つのセンサーで効率的にノイズを集音する「デュアルノイズセンサーテクノロジー」を採用
- 外側のマイクは外部の騒音を、内側に配置したフィードバックマイクは耳元に漏れこんだ騒音をそれぞれ検出
- 耳の3点で本体を支える新構造や、イヤピースの根元側の耳に接する部分に高摩擦のラバーを採用して密閉度を高め、耳元に漏れこむ騒音も低減
とあります。
どちらも2つのマイクで外音及び耳内のノイズを検出してそれぞれを相殺する機能が搭載されているようです。
実際使用した感じでは、AirPods Proのノイズキャンセリング性能が上回っていました。
AirPodsは電車の中でも聞いている音楽やラジオの音声がはっきり聞き取れるレベルで、
WF-1000XM3の方は聞き取れないことがありました。
とは言え、電車ほど騒音のない家の中や街中ではどちらも実用的なレベルでした。
音質
次に音質。
こちらも公式Webサイトでは、それぞれ
【Apple AirPods Pro】
- アダプティブイコライゼーションにより音楽の低音域と中音域を耳の形に合わせて自動調整
- 専用のハイダイナミックレンジアンプでクリアなサウンドを生成
- バッテリー駆動時間を伸ばし、音質を最適化、さらに周囲のノイズを除去するよう設計された専用の高偏位ドライバ、歪みの少ないスピーカードライバを搭載
- このドライバは20Hzまでのリッチな低音と正確な中高音域オーディオを安定して提供
【SONY WF-1000XM3】
- CD音源、MP3などの圧縮音源、音楽や動画などの配信サービスもハイレゾ相当の高解像度音源にアップスケーリングする独自の高音質技術DSEE HXを搭載
- 楽曲データが本来持っている高域の音の周波数スペクトルを、低音の周波数スペクトルから予測して復元、高解像度化
とあります。
音質は解像感、重低音、高音について5段階で比較しました。
表にすると以下のとおり。
解像感 | 重低音 | 高音 | |
AirPods Pro | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
WF-1000XM3 | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ |
音質に関して重低音以外はそんなに差がないと感じました。
音質は好みによるところが大きいと思うので参考程度としていただけると幸いです。
デザイン
次にデザイン。
大きさと重量
【本体】
AirPods Proは非常にコンパクトで、AirPodsよりもいわゆる「うどん」部分が短くなり、
外部音検出用スピーカーがアクセントになっています。
WF-1000XM3はAirPods Proよりも一回り大きく、
楕円形の本体に外部音検出用スピーカーはメタルの縁取りでデザインされています。
どちらも高級感のある作りで、
本体(片耳)の重さはAirPods Proが5.4g(カタログ上5.4g)、
WF-1000XM3が8.4g(カタログ上8.5g)でした。
【充電ケース】
AirPods Proの方が非常にコンパクトで携帯性に優れます。
重量はAirPods Proが45.9g(カタログ上45.6g)、WF-1000XM3が76.0g(カタログ上77g)でした。
カラーバリエーション
AirPods Proはホワイトのみですが、WF-1000XM3はプラチナシルバーとブラックの2色展開。
装着感
使用イメージは写真のとおり。
WF-1000XM3は一回り大きいので、風の影響を受けやすいです。
ランニングをする人などは、軽くて風切り音が気にならないAirPods Proがおすすめです。
イヤーピース(イヤーチップ)について、AirPods ProはS、M、Lサイズから選択可能で、
iPhone上で装着状態(密閉状態)のテストができます。きちんと注意も促してくれます。
WF-1000XM3はハイブリットイヤーピースロング(SS、S、M、L)とトリプルコンフォートイヤーピース(S、M、L)の7種類から選択でき、
より自分に合ったフィット感が選べます。
2種類の硬化シリコンとフォーム素材を組み合わせたトリプルコンフォートイヤーピースは、
以前から単体でも人気のイヤーピースで、音質と密閉度の高い装着を両立する優れものです。
また、本体の耳に接する部分が摩擦の高いラバー製になっていて、
フィット感はWF-1000XM3の方が高いと感じました。
わたしは日常的にランニングで使用しましたが、
どちらも十分な装着感で落ちることは一度もありませんでした。
操作性
本体の操作について、
AirPodsはつまむ動作(iPhone7やSEのホームボタンような触覚フィードバックあり)なので操作誤りがない一方、
WF-1000XM3はタップ操作です。
確実さと手軽さで好みは分かれるでしょう。
機能や設定
接続
AirPods ProはiPhoneに近づけると自動的に接続が開始するなど、
Appleならではの利便性の高さが発揮されています。
一方WF-1000XM3はアプリ上で接続する方式ですが、
一般的な手法で手間取ることはありません。
ノイズキャンセリング設定
AirPods Pro | ノイズキャンセリング・外部音取り込み・オフ |
WF-1000XM3 | ノイズキャンセリング・外音取り込み(レベル1〜20)+ボイスフォーカス |
【AirPods Pro】
【WF-1000XM3】
WF-1000XM3は、
止まっている時/歩いている時/走っている時/乗り物に乗っている時の4パターンの行動を検出してノイズキャンセリング機能を自動で切り替える「アダプティブサウンドコントロール」や、
人の声やアナウンス音を聞き取りやすくする「ボイスフォーカス」設定があります。
この「アダプティブサウンドコントロール」について、
わたしはそもそも頻繁にノイズキャンセリング機能を切り替える必要性がなく、
また、動作する際にタイムラグがあるので正直使いませんでした。
機能
⑴ 本体操作
本体の操作方法は表のとおり。
【AirPods Pro】
非常にシンプルです。
1回つまむ | 再生/一時停止、電話に出る |
2回つまむ | 次の曲 |
3回つまむ | 前の曲 |
長くつまむ | ノイズコントロール/Siri(左右それぞれ設定可能) |
イヤフォン本体で音量コントロールができないのが残念でなりません。
【WF-1000XM3】
左右それぞれ下記①②③④⑤から設定可能
①再生コントロール | |
1回タップ | 再生/一時停止、電話に出る |
2回タップ | 次の曲 |
3回タップ | 前の曲 |
長押し | Siri起動 |
②外音コントロール | |
1回タップ | ノイズキャンセリング/外音取り込み/オフ |
長押し | 「クイックアテンションモード※」起動 |
※一時的に音楽のボリュームを絞り、周囲の音を取り込んで聞き取りやすくする機能
③音量コントロール | |
1回タップ | 音量を上げる |
長押し | 音量を下げる |
④Googleアシスタント | |
1回タップ | 音声入力のキャンセル |
2回タップ | 通知の読み上げ |
長押し | 音声入力 |
⑤Amazon Alexa | |
1回タップ | 音声入力/キャンセル |
⑵ イコライザ機能
WF-1000XM3は、特定の周波数帯域(5つの音域)を強調または減衰(それぞれ20段階)して
「Relaxed」や「Bass Boost」など8種類のプリセットから選択したり、お好みの音設定にカスタマイズ可能。
AirPods Proにはイコライザ機能はありません。
⑶ バッテリー残量の確認
【AirPods Pro】
AirPods ProはiOS14のウィジェットで確認可能な上に、充電が必要になると通知がきます。
さすがAppleという利便性の高さです。
【WF-1000XM3】
WF-1000XM3は手軽さは劣るものの、
iOSアプリ「Sony | Headphones Connect」上で確認できるので困ることはありません。
⑷ ワイヤレス充電
AirPods Proはワイヤレス充電に対応(Qi規格)し、圧倒的に便利です。
WF-1000XM3はワイヤレス充電に対応していません。
機能的にはWF-1000XM3の方が多機能ですが、AirPods Proのワイヤレス充電は最強です。
電池持ち
ノイズキャンセリング機能をONにした状態での比較です(カタログ値)。
AirPods Pro | WF-1000XM3 | |
本体 | 4.5時間 | 6時間 |
充電ケース | 4回以上 | 約3回分 |
トータル | 24時間以上 | 24時間 |
充電方法 | ワイヤレス(Qi規格)対応/ライトニング端子 | USB-C |
本体のバッテリー駆動時間に差がありますが、基本的に使用後充電ケースに入れるため、
この差が気になることはありません。
トータル駆動時間はほぼ同じです。
まとめ
最後に再度まとめます。
AirPods Pro | WF-1000XM3 | |
アクティブノイズキャンセリング | ★★★★★ | ★★★★☆ |
ノイズキャンセリング設定 | オン/オフ/外音取り込み | オン/オフ/外音取り込み(レベル1〜20) +ボイスフォーカス |
音質 | ★★★★☆ | ★★★★★ |
イコライザ機能 | – | 8種類のプリセット +5音域20段階のカスタマイズ可能 |
サラウンド機能※ | 空間オーディオ | 360 Reality Audio |
デザイン | ★★★★★ | ★★★★☆ |
装着感 | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
操作性 | ★★★★☆ | ★★★★★ |
本体音量コントロール | – | 可能 |
音声アシスタント | Siriのみ | Siri/Googleアシスタント/Amazon Alexa |
バッテリー駆動時間(本体) | 4.5時間 | 6時間 |
バッテリーケース併用 | 24時間以上 | 24時間 |
充電方法 | ワイヤレス(Qi規格)対応/ライトニング | USB-C |
防水性能 | 耐汗耐水性能(IPX4) | – |
価格(税込) | 30,580円 | 27,500円 |
Amazon価格(税込)2022/04/25時点 | 29,036円 ➤ 商品ページ | 17,164円 ➤ 商品ページ |
※対応する音源のみ
以上の詳細比較の結果より、
わたしはデザインとノイズキャンセリングの効きを重視してAirPods Proを選択しました。
最初に結論で言ったように、音質とコストパフォーマンスを重視する場合にはWF-1000XM3が選択肢になるでしょう。
SONY WF-1000XM4に期待することなど
2021/6/25にSONYの新しいノイズキャンセリングイヤフォンWF-1000XM4が発売されますが、
- ①値段が33,000円(税込)と高いこと
- ②ノイズキャンセリング性能がWF-1000XM3の★★★★★に対して★★★★★★(SONYのカタログより)と、大幅な性能アップとまではならないと推測されること
この2つの理由から、現時点ではAirPods Proをおすすめします。
WF-1000XM4に期待することは、圧倒的なノイズキャンセリング性能と音質向上です。
特に音質に関して、ワイヤレスでのハイレゾ対応(YouTubeやSpotifyではハイレゾ級)がありますが、
YouTubeなどのメディアや音楽サブスクサービスの対応が進むまでは様子見でいいのかなと思っています。
以上です。
参考になればうれしいです。